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ある冬の日の出来事。
Cesnが始まって半年が過ぎようとしていたその日、空は曇天で昼間なのに街灯がついている。雨が降れば雪になる、そんな寒い日。
その頃はまだ、作家さんの予約もほとんど取れない状況で次の月ぐらいしか先が読めない頃。(商売ネタばらしカナ。イイのかな?ま、いいな。)
作家さんからの作品も掲載の一週間前ぐらいに届くその頃は、それから写真を撮り、ページを作り、と寝る時間はほとんどない状況だった。
だいたいあの頃は・・(そんな話しじゃなかった)。
その寒い日の夕刻、作家さんから作品が届く。例によってアップしなければならない日の直前。
箱に入っている届いたばかりの作品を出そうと新聞紙に包まれた作品を手に持つと、新聞紙はびっしょり濡れている。(作家さんから送られてくる時は作品は新聞紙でぐるぐるになってるんです)
「わー、新聞がぐちょぐちょだよ〜」
話には聞いていたが、焼き上がったばかりの作品は水で洗うため水分をまだ含んでいて乾燥させてやらないとならない。でも日にちがないから、十分な乾燥もそこそこに送られてくる。すると、新聞はびっしょり。という事になる。
この濡れた新聞に包まれた作品を手にすると、たまにはお客さんにも、こういう経験をさせてあげたいなぁと思ったりもする。
焼き上がったばかりのうつわ。
焼き上がったばかりのパンに魅力があるように、焼き上がったばかりのうつわにも同じだけの魅力がある。と、僕は思っている。
「なんかいいんだよね」僕にとって「この仕事をしてていいなぁ」と思える貴重な風情のある時間の一つ。
けれど、それに浸っている時間はあまりない。
ついに降りだした雪を、ちょっと見て、今日の夜中は冷え込むぞ・・と腹を決める。
夜になる。やがて深夜になり奥さんは就寝。一人になるも作業は夜中も続く。
乾燥させるため、しまわずに部屋に並べたうつわの横でパソコンをいじる。
真夜中は何の音もなく、カタカタと打ち込む音だけが聞こえる。
ヒーターもあまり効かないらしく、部屋なのに息が白い。
突然、「ぴしっ」とパソコンとはまるで関係ない音がうつわを並べた壁の方から聞こえる。
「ラップ音!」
あ〜、夜中も起きているから聞いてはいけない音も聞いてしまう。
寝た方がいいかな、と動かしていた手を休め、少し降り積もっている雪を見ながら内心ドキドキ。寝た方がいいかな、でも寝たら間にあわないかも、と念仏のようにつぶやき作業を続ける。
外は白みかけ何事もない朝を迎える。
2〜3日してから、このことを奥さんに話すと(ほんとに怖かったからなかなか言い出せなかった)
「あ、鳴ったの?」「あるんだよ。乾燥する時に貫入が入って音がするの。」
「へ〜、そうなんだ。」(なんだ霊じゃないんだ)
実際は貴重な経験だった。
その後も濡れた新聞紙に包まれてくる作品はあっても鳴ってはくれない。乾く時に貫入が入るのは情緒があるけど、まれに乾く時に、釉薬に大きくヒビが入ってしまう時もある。「冷め割れ」とか言うらしいけど、これは悲劇。だから、皆さんに届く時は十分な乾燥後ということで。
「焼き上がったパンならぬうつわ」は私達だけ〜♪
「作家もののうつわ初心者」の方を中心に、できるだけ興味をもって頂きながら、理解と知識を深めていく感じ(笑)で書いています。クレームなどはご遠慮願いますが、誉めて下さるメールはお待ちしています。(笑)よろしかったらご感想をお寄せ下されば幸いです。
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