「釜ゆで物語り」

せすんの読みもの
   

うつわを買ったら陶器は米のとぎ汁で、磁器はお湯で煮込んで下さい、という説明をよく目にする。
そうする事でうつわが丈夫になったりするらしい。。とも聞いた。始めは素直に受入れた。Cesnを始める前に、ある時ふと湧いた疑問。「ホントかなぁ」引っかかったのは「丈夫になる」という点だった。

ちょっと想像してみる。
湯に陶器を入れると土が水分を吸収する。土の中にはすき間があるからそこにも湯が入る。取り出して乾いていくうちに水分はなくなり・・。・・やっぱすき間はあると思うんだよなァ。

仮に湯が、そのすき間を塞ぐように土を動かすとすれば穴は埋まってギュッと凝縮するから確かに丈夫になるかもしれない。でも、すき間を塞いだ分だけうつわは小さくなる。。表面は大体、釉薬が掛ってるんだから、土台(うつわ)が小さくなったら釉薬のガラスはズレて剥離するんじゃないかな。。
じゃ、もし剥離しなかったら?
うつわは縮んでるんだから、貫入だったヒビはグッと詰まって無くなるんだろうか。。

わかんない事は作家さんに聞いてみる。

作家さんの話しだと、焼成温度は1000度とかの高温で焼くから沸騰させたぐらいのお湯じゃ何の影響もでないらしい。丈夫になったり縮んだりはしないんだ。
じゃぁ、何でこういった説明が定説みたいになったんだろう。

ここからは僕の仮説だけど。
恐らく煮込み始めたのには、それなりの歴史があるんじゃないかな。(多くの人が自然にこれを口にしている点からみても)目的は、うつわを買ったお客さんに「消毒」させるため。
店頭に並んでいれば、ホコリも少しはつくだろうし、何人もの手が触る。保管する場所は倉庫だし、それが30年、40年前と坂上ればどんな状況か想像はつく。(衛生的に今より管理が行き届いていたとは思えない)

その消毒する事と、もともとあった「米のとぎ汁で水漏れを止める」という知恵が一緒になって、変に伝わってしまったんじゃないかと思う。(じゃないとお湯で煮るという意味がわかんない。陶器も磁器もお湯で煮ても何の影響もでない。)
なんでもかんでもうつわを「米のとぎ汁」で煮込んでも意味はない。

そればかりか買ってすぐ、お湯や米のとぎ汁で陶器を煮る事で失敗することがある。
例えば、うつわの表面に食器用のシリコンをかける場合がある。これは染み込みや汚れから一定期間守るため。使っていくうちに徐々にシリコンがなくなっていき、より自然な「味」をうつわに持たせていく。
白いうつわは、色が付きやすいため、食器用シリコンを掛けたりすることがある。買っていきなり米のとぎ汁(お湯)で煮ると、このシリコンが全部取れちゃったりする。

ちなみに米のとぎ汁で水漏れが止まる理由は、どうも米のノリみたいな成分が土のすき間に残るみたい。(すき間にノリが残るから、お湯をどこかで止める形になる。)買ってきた始めに「とぎ汁で煮る」というよりも、漏ったら「とぎ汁で煮る」と記憶する方が正しいと思う。

土ものはその性質上、水漏れをするものが希にある。(磁器にはない)これは仕方のない事だし、世間一般的に不良品という扱いにはならない。(どのお店で買っても)

「そういうこともある」とおおらかな気持ちでいて欲しい。
(もちろん、ジョボジョボ漏ってくるようなうつわは不良品ですよ。)
ちゃんと理解していれば、対処もできる。
そう。そんな時こそ、僕の奥さんのように「さり気なく」お米を研ごうじゃないですか。(笑)

注)せすんにてシリコンを使用したうつわをお求め頂いた時にはうつわの扱いを添えてお渡ししています。

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「作家もののうつわ初心者」の方を中心に、できるだけ興味をもって頂きながら、理解と知識を深めていく感じ(笑)で書いています。クレームなどはご遠慮願いますが、誉めて下さるメールはお待ちしています。(笑)よろしかったらご感想をお寄せ下されば幸いです。

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