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「ちょっと、茶碗持ってきてくれる?」
食器棚からご飯茶碗を持ってくる僕。自分の分も。2人分の茶碗。
「はい」「何食べるの?」
「違うよ、調べたい事があるから茶碗を持ってきてほしかっただけ。」
「え”〜」茶碗を持って呆然と立ちすくむ。
奥さんは僕が手に持っている2つの茶碗を見て半ば呆れ、半ば苦笑い。
「あのさぁ茶碗って言ったら抹茶茶碗じゃないの?」
茶碗っていったら普通、ご飯を盛る茶碗を想像するじゃん。でも、奥さんは茶器を売ってた事があるので茶碗というと抹茶茶碗らしい。で、今度は奥さんが疑問をもつ。
「なんで、ご飯を盛るのに茶碗って言うんだろう。」
「なんだ、何も食べないんだ。」
と落ち込んだふりをしてその場をそそくさと離れる。・・また調べさせられるところだった。 今回は上手く逃げた。
そうそう、お茶で思い出したけど、だいぶ昔、ある庭園に遊びに行った。(どこに行ったのかまでは僕の頭は記憶しておいてくれない)
行楽日和の穏やかで爽やかな日。明るい光りがあたり一面に同じ強さの日差しでふりそそぐ。
時折吹くやわらかい風にさざめき揺れる池の水面。沈黙する大きな石、語らう木々。ゆるやかなつづら折りの道に落ちた影が行ったり来たりする。一つ一つが構成するものは混じり合っているのに、それ以外は何も受けつけない。
置き忘れられたような家屋が一軒、建っている。
中に入る。
薄明るい10畳程の一部屋に、四方の壁にそって座ぶとんが並んでいる。既に数人かの人達が無作為に座りお茶を飲んでいる。
お運びさんが2〜3人いて、一言二言と、少し話しては又、別の所へ行く。
「!」(なんか嫌な予感!)
空いてる所を見つけ座る。あぐらをかいて座るとだいぶ歩き回ったせいか少々の疲れがにじみ出てくる。
「(抹茶を)お願いします」と隣に座った彼女が静かに話す。
少し待つと、頃合いの程良い時間で運ばれる抹茶。手元へ抹茶茶碗と干菓子ののったお盆が畳に置かれる。なぜか、お茶を運んで来てくれたお運びさんがそのまま僕の隣に座る。(い、やめて下さい。一人にして下さい、と内心ちょっとドキドキ)
手元に置かれた抹茶茶碗を見ると、ぬめぬめした感じの液体はアブクまで立っていて、魔法使いの住む奥深い森の古い沼さながらに、たちまち飲む気を奪う。(う〜ん、飲みづらいな。。)
横目でちら、と彼女を見ると両方の手でうつわを持ち、もう飲んでいる。
こんな窮屈な所に一人残されては・・と、初めての抹茶を一口飲む。
(う、ううっ)一瞬固まる。
(んん・・一気に、一気に飲んでしまえ)一気に飲む。
(なんじゃこれは・・)ぬるくて苦いし、まずいじゃん。
急いで干菓子を頬張る。(うぅ、今度は甘すぎる。。)
横に座っていたお運びさんが小さい声で話しかけてくる。
「あぐらじゃなくて正座、片手じゃなくて両手で飲むものです」
(ガーン。。)
でも、ちょっとカチンときて「武士なんだもん」と小声でいったら耳に届いたらしく、立ち上がって去ろうとするその横顔が、やおらこちらに振り向き「キッ」とにらむ。。ハッとしてタジタジ。。
外に出ると、やはり先程までの何にも干渉されない清閑な空間がそこに広がっている。
「抹茶、おいしかったね」と言う彼女の言葉が、僕の中で複雑に広がっていく。
「作家もののうつわ初心者」の方を中心に、できるだけ興味をもって頂きながら、理解と知識を深めていく感じ(笑)で書いています。クレームなどはご遠慮願いますが、誉めて下さるメールはお待ちしています。(笑)よろしかったらご感想をお寄せ下されば幸いです。
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